校長室便り

平成29年度 校長室便り

合同朝会の表彰式:“金メダリスト”へのインタビュー
合同朝会の表彰式:“金メダリスト”へのインタビュー

 

柘植雅義

 

筑波大学附属大塚特別支援学校校長

 

筑波大学教授(人間系 障害科学域)

校長室便り6

梅雨入りとなって数日したある日のスケッチ

 

 先日、附属大塚への出勤日のこと。いつものように、朝、校門で登校の様子を見守っていると、登校してくる子どもがとても少なく感じました。そういえば、多くの学部や学年が、外に出かけて学習する日でした。

 

 高等部2~3年生は現場実習の最終日。ある生徒の実習先での反省会に、進路指導主事と担任が参加するということで、同行しました。実習で上手くできたこと、もっと頑張りたかったことを、実習先の職員から聞かれて、少し緊張して、でも上手に答えていました。

 高等部1年生は、学校で自分の将来の「夢」の勉強。パソコンルームで、一人一人パソコンに向き合って、専用ソフトに自分の「夢」に関係する言葉を入力していきます。そして、同じ言葉を寄せたり線で結んだり。自分の夢、上手く描けましたか。

 中学部は、年に何回かチャレンジする、恒例の高尾山登山。梅雨入り直後ということで中止の覚悟はしていたものの、晴れて実行。頂上からの見晴らしは、いかがでしたか。

 小学部そら組(5~6年)は、学校で勉強。いつもは教室や教室前の廊下を雑巾がけするのに、その日は中学部が留守ということで、校長室・副校長室の端から反対側の中学部の端までの長い廊下の雑巾がけも。お陰で、きれいになりました。

 小学部つき組(3~4年)と、はな組(1~2年)は、水曜日から宿泊学習。2時半頃に、つき組が帰ってきました。子どもも先生も、顔が少し日焼けしたかな。週末は、しっかり休養してくださいね。

 幼稚部は授業参観と保護者会。プレールームで一人一人がそれぞれの興味関心に基づいた活動や、朝の集まりなどの参観、そして、給食の後、保護者会へ。下校の際、「入学した頃は、牛乳が飲めなかったのに、最近、好きな飲み物になりました。ありがとうございました。」とある保護者の声。

校長 柘植雅義

校長室便り5

「生きること」と「働くこと」

(小学部そら組みの宿泊学習と高等部の現場実習壮行式)

 

 知的障害のある子どもの学習は、国語や算数や音楽や体育等の教科に係ること(アカデミックスキル)と共に、将来の生きることとか働くことに向けた内容に係ること(ライフスキルとワークスキル)の習得が大切です。

 この両輪を如何に関係づけて上手い具合に構成し、年間、学期、毎月・毎週、そして、日々の授業で展開するか、知的障害教育に携わる者にとって腕の見せ所です。さらには、学部を超えて、小学部から中学部へ、さらには高等部での学習へと、一貫して継続して続いていきます。

 

 先日、5月の雨の日、午後3時頃、小学部そら組み(5・6年生)が3日間の宿泊学習から帰ってきました。お迎えの保護者らの前で一列になった子どもたちが何かとても頼もしく見えました。友達と先生とだけで3日間を過ごすという体験は、将来の自立に向けた大いなる一歩です。

 

 同じ日の午前中、体育館では、翌週から始まる高等部の現場実習の壮行式が、多くの小学部や中学部の保護者が見守る中、生徒らの司会進行で行われました。当日、体育館でのこの授業に参加しなかった生徒2名は、それぞれの場所から大きな画面に写ってライブで参加しました。また、一足早く実習に出かけている生徒はVTR参加。

 一人一人による、実習先での仕事内容と実習の目標のプレゼンでは、数枚のスライドを自分で情報端末を操作しながら自分で発表しました(附属大塚が企業と協力して最近開発したプレゼンテーションソフトの試行)。音声で上手く伝えられない生徒は友達が代読して録音してくれた音を自分で操作して流しながら。あるいは、長い台詞を全部覚えていてメモとか正面に写ったスライドを見ないで空で言えた子もいました。

 

 本校の子どもたちへ

 現場実習の壮行式で、質疑応答のときに、中学部の生徒から難しい質問を受けて答えられなくなって困ってしまった子がいましたね。後ろにいる先生の方を見て、頑張れ!と励まされたのかほっとして、そして少しヒントをもらって?、そして自分でよく考えて、その質問に上手く答えることができました。現場実習、楽しみですね。いろいろな人に助けてもらいながら、でも、一人で一生懸命頑張ってきてください。

校長 柘植雅義

校長室便り4

インドネシアとタイ

 

 5月の先日、インドネシアの大学から40名ほどの来客が、そして、翌日には、タイの大学から10名ほどの来客がありました。

 附属大塚は、国内のみならず、海外からの来客もとても多いです。政府関係者、大学の教授、学生、特別支援教育に携わる教員、などと立場や訪問の目的も様々です。

 

 インドネシアの人口は2億人で日本の倍、特別支援学校の数も2000校と、日本の倍です。インドネシアの知り合いに話を聞くと、知的障害のある子ども一人一人の複合的総合的なアセスメントを実施するということと、それを踏まえて指導の計画を作成し、指導を行い、評価を行って見直していくというプロセスの構築が、今後の課題と聞いたことがあります。

 一方、タイの知り合いからは、日本で頻繁に行われている授業研究会について、他の教員のする授業を皆で見合って、その良し悪しや今後の工夫やあり方について協議することは、恥ずかししプライドが許さないかもしれない、と聞いたことがあります。

 

 附属大塚が世界各国の特別支援教育の充実発展に貢献できることは多いと思います。その一方で、彼らから学ぶこともとても多いと今回も思いました。

 

 本校の子どもたちへ

 この前、海外からたくさんのお客様が皆さんの勉強の様子を見に来てくれましたね。お客様がお帰りになる時に、皆さんが一生懸命に勉強していたこと、とても楽しそうに勉強していたこと、そして、学校が清潔でよく清掃されていること、を褒めてくださいましたよ。良かったですね。

校長 柘植雅義

校長室便り3

 

「応援」って、何と素敵な言葉でしょう。

 

 誰かのために応援するという行為。その人がもっと上手くいくように、その人がもっと豊かに幸せになるようにと、心を込めて。英語では、Support でしょうか。でも、Support の日本語は、支援とか支持とかサポートとかに訳されますから、「応援」とは少しニュアンスが違いますね。

 

 先日、運動会の全体練習の日のこと、高等部生徒主体の開会式、中学部生徒主体の閉会式、綱引きなどの練習の他に、紅白の応援合戦の練習もありました。自分たちのチームが頑張るぞ、という掛け声と共に、双方が相手のチームの頑張りを応援する掛け声もありました。自分が精一杯頑張ること、そして、相手が精一杯頑張ること、実はその両方が大切なんだということを子どもたちにどのように知らせ、理解させていくのか。とても難しいことかもしれないけど、知的障害教育の重要な事項の一つだと思います。

 

 そういえば、何年か前、私が着任して1年が過ぎようとしていた年度末の離任式の前のこと、本校に勤務して、やがて本校を羽ばたいて行く教員や職員を「応援団」と呼ぶことにしました。定年退職しても、別の学校や職場に転職していっても、ずっと附属大塚のことを応援してください、という思いからです。

 

 本校の子どもたちへ

 もうすぐ運動会ですね。皆さんは、赤組になりましたか? 白組になりましたか? 自分のチームが勝つと嬉しいですね。でも、皆さんと同じように、相手のチームの友達も一生懸命練習をしていますね。だから、頑張っている相手のチームの友達も応援しましょうね。

校長 柘植雅義

校長室便り2

「鯉のぼり」と「鉄腕アトム」と「PTA総会」

 

 4月の下旬、連休前の晴天で風が爽やかなある日のこと。朝、校門を入ってすぐのところにある遊具のある広場で、幼稚部の教員が鯉のぼりを揚げていました。毎年この時期、毎朝の作業です。水平に張られた綱に、黒、赤、青、緑の4つの大小の鯉のぼりがぶら下がりました。登校してくる子どもたちは、「鯉のぼり!」と指をさして声を上げたり、親子で近くに行って尻尾を掴んだりします。

 

 保護者の方々は、そのまま体育館に向かってPTA総会。昨年度の振り返りと今年度の計画、新旧の理事や役員の交代、そして、新入会員の紹介など。会の冒頭、保護者の方々に校長挨拶。附属大塚は、世界最高水準の知的障害教育を目指していること、そのためには、保護者の皆さんと学校との連携が今後ますます重要になること、そして、その連携の大切なキーワードが「個別教育計画」と「合理的配慮」であること・・・。

 

 総会が半分くらい経過したとき、突然、「鉄腕アトム」の曲の楽器演奏が運動場から聞こえてきて、張り詰めた緊張が何やら少し和らいだ様でした。5月の運動会に向けた、毎年恒例の高等部生徒による入場行進曲の練習です。この曲を聞いて、先の校長挨拶で、「本校の子どもたちは皆カッコいいアトム!」そして「本校の教員は皆ダイヤモンド」と言うことを忘れていたことに気が付きました。毎年、言っているのに。

 

 本校の子どもたちへ

 運動会の練習が始まりましたね。この前、皆さんのお家の人と附属大塚の先生とが一緒に、体育館で勉強をしていたら、高等部の皆さんの演奏する「鉄腕アトム」が聞こえてきましたよ。運動会の入場行進では、皆さんのカッコいいところを、たくさんの人に見てもらいましょうね。

校長 柘植雅義

校長室便り1

「おおきなかぶ」

 

 4月になって2週間が経過したある日のこと。幼稚部から高等部まで、いつものように各教室を回りました。本校に新たに入学、進級した子どもたち、新たに本校に着任した先生方、担当するクラスや学部が変わった先生方、・・・。新しい仲間、新しいチームで、昨年度とはまた少し違った、新たな取り組みが始まりそうな予感。

 

 幼稚部に行くと、ある教員が「おおきなかぶ」(小学1年生の教科書にも載っているロシア民話)の歌を歌って、その後ろに、数人の子らが順に前の人の服を掴んで楽しそうに遊んでいました。その様子を少し離れてじっと見ていた子に、その教員が何度か声をかけて誘っても、恥ずかしいのか加わりません。でも、その先生があるタイミングで声をかけると、走り寄って行って一緒に引っ張りました。そして、おおきなかぶが抜けました。かぶがぬけて一番うれしそうなのは、その子でした。

 小学部のそら組(5~6年生)に行くと、ある子が、自分のこと、自分が春休みにしたこと、そして、他の何人かの友達のことをずっと私に話しかけてきました。昨年も、時々、そっと片言で、話しかけてくる子でしたが、こんなに長い時間、しかも、いろいろな話を分かりやすくしてくれたのは初めてだったので、とても嬉しくなりました。

 運動場では中学部の子どもたちと先生方全員が一緒にトラックをジョギング。先生方は皆、自分の担当の子や近くの子の指導をしながら、他の先生方の子どもとの関わり方や指導の仕方を丁寧に観察しているようでした。何やら、先生方が、とても頼もしく感じられました。

 高等部の1年生の教室に行くと、他の学校から入学してきた何人かの子らと、中学部から進級してきた子らと、そして他の学部から移ってきた2名の教員とで授業が始まっていました。皆、初めての高等部、にも拘らず、何やら既にしっくりとした、前から続いているような豊かな学級の雰囲気。

 

 4月の最初の2~3週間って、子どもの実態把握や、新たな教員間の役割分担、指導計画や年度計画の最終確認、そして保護者との連携協力のスタートなど、とても大切な時期なのですね。今年度も、とても良いスタートが切れました。

 

本校の子どもたちへ

おおきなかぶは、一人ではなかなか抜けません。でも、皆でいっしょに頑張ると、抜けるのですね。こんど、友だちが困っていたら、そばに行って声をかけたり助けてあげたりしてくださいね。友だちは、きっと喜んでくれますよ。そして、いつか、自分が困っているときに、きっと、助けてくれますよ。

校長 柘植雅義

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