校長室便り

令和元年度 校長室便り

柘植雅義

 

筑波大学附属大塚特別支援学校校長

 

筑波大学教授(人間系 障害科学域)

タブレット型PCを使って挨拶する児童を迎える校長
タブレット型PCを使って挨拶する児童を迎える校長

校長室便り10

タイミング?

(主体的な行動の「型」と「機能」と「意図」を探って)

 

 中学部のAさんは、ある日、30分くらい遅れての下校となりました。教室でさよならをして、教室を出て1階の玄関に来るまでに時間がかかり、その間、担任の先生が入れ代わり立ち代りでの支援を続けました。しばらくすると、Aさんが、何とコードレス掃除機を持って、楽しそうに廊下を掃除しながら、校舎の玄関の方に歩いてきました。掃除機や手で引っ張る車輪の付いた荷物車とかが大好きなAさん。廊下のゴミがなくなると、担任の先生がこっそり小さな紙片をパラッと落として、・・・「ほら、まだあるよ!(こっちも上手に掃除してね)」。校舎前の玄関には、下校支援のスタッフの方がじっと待ってくださっていました。そして、長く遅れてしまってことがなかったかのように、Aさんとスタッフの方が一緒に学校を出て行きました。Aさんと担任の心の繫がりが、Aさんとスタッフの方との繫がりに、ふと代わった瞬間でした。

 もう少し学校にいたかったのかな? もっと先生に甘えたかったのかな、楽しかったことを思い出していたのかな? 何がこじれてしまったのかな? 一言で言えば、タイミングが合えばすっと下校できるが、何かの理由でそうでないと時間がかかってしまいます。

 

 小学部のBさんは、お母さんと朝の登校時、正門のところで立ち止まって、警備員の方に挨拶をします。私がいれば私にも。その後、すぐに正門をくぐって校舎の玄関に向かいますが、一人でしばらく立ち止まって校舎の玄関に向かわないこともあります。反対の方向から歩いてくる友達を見ているのか、友達が来るのを待っているのか。また、友達が来ると一緒に歩き始めることもありますが、そうでないときもあります。学校の正門前に到着してからの行動の読み取りが難しいです。ある友達が手を繋いでくれて、それでさっと歩き始めることもあれば、繋いでくれた手を振り切って立ち続けることも。

 一言で言えば、タイミングが合えばすっと入れるが、何かの理由でそうでもないとしばらく立ちつくしてしまいます。立ち止まるという行動の「型」は同じでも、その「機能」とか「意図」はいろいろあるようです。

 

 登校(家を出る、学校の正門をくぐる、教室に入る)とか、下校(学校を出る、放課後等デイに入る、家に帰る)とか、着替えとか、授業の切り替えとか、給食の準備とか片付けとか・・・知的障害のある子どもにとって、多かれ少なかれいろいろな切り替えには困難が伴います。いや、どの子だって大人だって切り替えには負担がかかるものです。もしかしたら、子どもたちは、切り替え時に、一呼吸置いて、体と心を整えて、これまでを振り返って次の活動や行動への期待や不安を思い描いてみる、といったことを丁寧にしているのかなあとも思えてきます。

 そんな子どもたちの主体的な行動を、教員や登下校支援のスタッフや保護者の方々は大切にし、せかしたり手を引っ張ったり無理に背中を押したりはしません。そして、教員は、そんな子ども達との毎日の何気ないやり取りを繰り返しながら、一人一人の子どもが示す様々な主体的な行動の「型」と「機能」と「意図」を探っていこうとしているのです。

 

 何日かして、Aさんの保護者の方と立ち話をする機会がありました。そのときに、先日の下校時のことを話しました。すると、「下校時は会議とか仕事とかで先生方お忙しいはずなのに、わが子に30分も付き合ってくれて申し訳ないです。」。私から、「本校では、Aさんのみならず、一人一人の子どもが示す様々な主体的な行動を、丁寧に読み取って理解して、適切な支援をしていくことを心がけていますから。」 保護者「嬉しいです」。

校長 柘植雅義

 

校長室便り9

飛行機と空港と夢と

(高等部第2回現場実習壮行会 校長挨拶)

 

 来週から始まる、秋の現場実習の壮行会、高等部の1年生と3年生の皆さんの発表、頑張りましたね、とっても良かったですよ。それから、今回も、小学部や中学部の後輩の人たちやそのお家の人もたくさん、聞いていてくれましたね。嬉しいですね。高等部の皆さんは、後輩の人たちにとって憧れの先輩なのですよ。

 

 さて、高等部1年生の皆さん、高等部になって初めての現場実習ですね。少しドキドキしていますか? 少し不安ですか? でも大丈夫ですよ。附属大塚でいろいろなことを勉強してきたので、自信をもって頑張ってきてください。きっと、上手く行きますよ。でも、もし分からなくなったり辛くなったりしたら、実習先の人やお家の人にお話ししてください。助けてくれますよ。

 

 それから、高等部の3年生の皆さん、高等部最後の現場実習ですね。皆さんの夢に向かって社会に飛び立つ前の最後の準備の時です。半年後の3月には、皆さんは附属大塚を卒業します。4月には、もう附属大塚には来ません。皆さんは、飛行機です。附属大塚は、空港です。空港を飛び立つ最後の準備をしたら、いよいよ滑走路に出て走り始めます。ゆっくり走り始めて、徐々にスピードを上げていって、そして一気に大空に飛び立ちます。そのための最後の大切な準備が、この現場実習です。

 

現場実習に参加した生徒の皆さんへ

 小学部や中学部の後輩の人たちやお家の方々がたくさん、壮行会に参加してくれましたね。そして、皆さんが一人ずつ現場実習の目標と内容を発表した後、後輩の人たちがたくさんの質問をしてくれましたね。「◯年生の〇〇先輩、(現場実習にいくために)何時に起きますか?」「△年生の△△さん、(実習中に)トイレに行きたくなったらどうしますか?」「□年生の□□さん、(毎日)何時間働きますか?」・・・。2週間の現場実習が終わったら、報告会で皆の前で発表してください。また、後輩の人たちが参加してくれると思いますよ。

校長 柘植雅義

 

 

 

校長室便り8

暑中お見舞い

 

 先日、何年か前の本校の卒業生から、暑中お見舞いのはがきが届きました。

 私の名前も住所も、ペンで書いてあります。難しい字も丁寧に頑張って書いたことがすぐに分かりました。はがきを裏返すと、夏の絵はがきに、もうすぐ結婚すること、結婚の準備を始めたこと、先方の実家の方に引っ越したこと、仕事先が遠くなったけど頑張って通っていること、そして、料理の勉強を始めたことなどが書かれていました。料理は、お義母さんからも教えてもらっているのでしょうか。

 優しく、丁寧で、しっかりとしたその文字からは、今正に幸せの只中にいて、そして、料理の勉強を始めることで、それを一層大きく確かなものにしていこうとする強い意志が読み取れました。そして、その大切な意志を周りも受け止めて支えていこうとする姿勢。

 

 「幸福の中には、人が考えるよりも意志の力が働いている。」(フランスの哲学者 アラン)そしてまた、「何もせず期待して待っているだけでは、チャンスは訪れない。準備をする人にこそ、チャンスはやってくる。」という誰かが発したフレーズも思い出しました。

 

本校の子どもたちへ

 夏休みが始まって10日ほどが過ぎました。皆さん、お元気ですか。花火を見たり、プールに行ったり、スイカを食べたり、本を読んだり、・・・。楽しいですね。それから、校長先生からの宿題「お手伝い」していますか? 掃除とか、洗濯とか、買い物とか、料理とか、・・・何でもいいですよ。お手伝いを頑張る人は、きっと、りっぱな大人、カッコいい大人になれますよ。

校長 柘植雅義

 

校長室便り7

『きみのかわりはどこにもいない』(2)

 

 先日、紫陽花の話をしました。たくさんの紫陽花がまるでカーテンのように美しく調和を見せてくれていること、そして、一花一花の色が皆違っているように見える、と。(令和元年度 校長室便り6)

 

 そういえば、何年か前、校長室便りで羊の話をしたことを思い出しました。(羊飼いが、100匹の羊を連れて山や野原や河原を一日歩き、夕暮れ近くに家に戻りました。家の前で羊の名前を順に呼んで数えていったら、一匹足りませんでした。羊飼いは、慌てて、ランプを持って暗闇の中、その日に出かけた所を辿って探しに出かけました。その羊の名前を大きな声で何度も呼び、一晩中探し回り、もうくたくたになりました。そして、夜明け前にやっと迷子の羊を見つけました。体が木の枝に引っかかって動けなくなっていました。羊飼いは、迷子の羊を見つけてほっとしました。そして、その羊も、羊飼いを見てほっとしました。羊は皆、顔も体も性格も違います。一匹一匹皆違います。だから、"かわり" はいないのです。(平成26年 校長室便り⑳『きみのかわりはどこにもいない』から抜粋))

 

 本校の幼児児童生徒は、知的障害があるということは共通ですが、その上で、他の障害等を合わせ有していたり、学び方や行動の仕方が一人一人違っていたり、そしてまた性格も気質も身長も体重も様々です。そんな掛け替えのない一人一人が、毎日、附属大塚に集って、共に学び共に過ごします。教室を巡回するたびに、どの子を見ても、その子の代わりはいない、という気持ちが強くなっていきます。

 そして、代わりがいないのは子どもたちだけではなく、その先生方も保護者の皆様方も皆、大切な掛け替えのない存在です。

 

本校の子どもたちへ

 附属大塚、楽しいですね。校長先生も、楽しいです。今度、そんな楽しいことを、皆さんの先生やお家の人にたくさんお話してあげてください。それから、もし困ったことや辛いことがあれば、それもまた皆さんの先生やお家の人に話してください。そして、校長先生にも、たくさん話してね。

校長 柘植雅義

 

校長室便り6

「紫陽花のカーテン」と令和

 

 毎年6月になると、本校の正門の向かい側の塀の一部に、見事な「紫陽花(あじさい)のカーテン」が現れます。子どもも、保護者も、教員も、楽しみにしています。

 今年も、向かい側の中学校の塀の10メートルほどに渡って、いろいろな色の紫陽花が咲き誇っています。青と、紫と、白。でもよく見ると、青といっても、濃い青、薄い青、水色のような青、・・・と実に様々です。紫も、白も、そうです。そして、200輪か300輪かの花の色が、それぞれ違っているように見えてきます。同じ色は、ないようにも見えてきます。

 

 先日の合同朝会、体育館に集まった各学部の子どもたちに、2つのクイズを出しました。

 今から校長先生がする手話は何か分かりますか? と言って、胸元に5本の指を合わせて、それをゆっくり広げながら、皆の方に向かって前に出しました。一つ一つの蕾がゆっくり花開いていく様子です。令和とは、誰もが、皆、自分の花をきれいに咲かせる、という意味があるそうです。(注:令和が最初に示された頃のものなので、もしかしたら、その後、変更・修正されているかもしれません。)

 もう一つクイズを出しました。今度は、英語のクイズ。"beautiful harmony" って何か分かりますか? 答えは、これも令和。美しい調和、という意味だそうです。(注:令和が最初に示された頃のものなので、もしかしたら、その後、変更・修正されているかもしれません。)

 この二つのクイズから、令和は、一人一人誰もが、誰とも違うその人ならではの花を咲かせるということ、そして、それらの花が、ばらばらととりとめもなく自分勝手に咲くのではなく、皆で協力し合って支え合って(調和的に総体としても)美しく咲き誇ることなのかとも思えてきます、と話しました。まるで、「紫陽花のカーテン」のように。

 

本校の子どもたちへ

 学校のすぐ近くに、あじさいの花がたくさん咲いていますね。たくさんの花がきれいに並んで、カーテンのようになっていますね。その前を通る人が皆、じっと見つめたり、立ち止まって見たりしていますね。一つ一つの花もきれいですが、そんなたくさんの花が皆で咲き合って、カーテンみたいになっている姿もきれいですね。今度、そんな、あじさいの花が全部でいくつあるか、数えてみてください。10かな、100かな、もっと多いかな。

校長 柘植雅義

 

校長室便り5

手をつないで(2)

 

 先日、学校の近くの郵便局前の交差点に行くと、いくつもの路線の地下鉄の駅前ということもあって、大勢の人が信号待ちをしていました。よく見ると、本校の中学部1年生のグループがその中に。郵便局での校外学習を終えて学校に帰る途中とのこと。

 信号を渡ると、長い急な坂道が続きます。坂道に疲れた生徒なのか、先頭の女性の担任の先生の両手にはそれぞれの生徒が手を繋いでいます。そのすぐ後ろにも、2人の生徒が歩いて、5人で何やら楽しそうに進みます。

 列の中ほどには男性の担任の先生が、そして、列の最後尾には応援のベテランの先生がついていました。校外学習では、いろいろな安全確保が大切で、先生方も十分に気を使い様々な配慮をします。

 先頭集団の5人の後ろに、少し離れて一人で歩く男子生徒がいました。〇〇さんも坂道頑張ろうね、と声をかけると、私の手を繋いできました。前の集団の楽しそうな様子を見たからでしょうか。本当は、私ではなく、前を行く先生と手を繋ぎたかったのではないでしょうか。学校までのわずかな時間、附属大塚で楽しいこと、大好きな友達のこと、勉強のこと、いろいろな話をしてくれました。

 

 小さな子どもにとって、親とか先生とか手をつなぐ、ということはとても大切なことだと思います。手をつなぐと、ほっとして安心な気持ちになって、その人のことがもっと好きになって、そしてまた頑張ろうという自信につながって、・・・。手を繋ぐって、不思議ですね。

 

 子どもから大人への本格的な助走が始まるのは、中学1年生なのかもしれませんね。2年生や3年生にもなると、親から先生から手をつなごうと言い出しても、いやだ、とか、恥ずかしいとか、自分一人でする、という気持ちが強くなって、やがて、手をつなぐことを拒否することが多くなっていくかもしれませんね。

 中1って、やはり大事な年齢なんだ!、などとあれこれ思い巡らしているうちに、学校に到着。

校長 柘植雅義

 

校長室便り4

高等部 朝会委員会の仕事

 

 毎週月曜日の朝、体育館で小・中・高等部の皆が集まって合同朝会が始まります。幼稚部の皆も、時々参加します。「校長先生のお話」とか、「(毎月の)お誕生日会」とか、歌とか体操とか、「ミライの体育館」ゲームとか、海外からのお客様との懇談とか、・・・。

 

 実は、この合同朝会を進行するのは、高等部の朝会委員会の生徒たちです。いよいよ開始時間が近くなると、係りの子が、列になって並んでいる各学部の先頭に行って、列ごとに確認します。早めに体育館に行くと、係りの皆だけが体育館にいて、リハーサルをしています。その後、各学部の皆が列に並ぶときの目印として、カラフルな三角ポールを、学部に応じて色分けして置いていきます。

 

 全員が集まったことを係りが確認すると、会の始まりを、司会の係りがアナウンスします。賑やかだった会場が静かになります。プログラム毎に、その担当の先生のところに、マイク係りがマイクを持っていって差し出します。ステージ前面の映像のコントロールも、係りの子がPCを操作して行います。皆でダンスやゲームをするときには、高等部の生徒が、小学部などの小さな子のところに行って、やり方を教えてあげたり、一緒に楽しんだりしてくます。プログラムが全て終わると、司会の係りが閉会の挨拶をして、ピアノ演奏に合わせて、小学部から順に帰っていくことをアナウンスして終了。毎回の、退場の時のピアノ演奏曲も、子ども達が楽しみにしています。皆が退場すると、朝会委員会の最後の仕事、椅子の片付けなどをします。

 

 最高学部の生徒として、このように、毎週月曜日の朝30分ほどの合同朝会を進行します。係りで手分けして、準備から、進行、そして片づけまで、を行います。そして、高等部では、この合同朝会をはじめ、朝会委員会のメンバー以外の人も含めて、現場実習の壮行会や反省会の進行など、様々な場面で進行を生徒が主体的に行います。その姿は何やらカッコよく、中学部や小学部の子にとって高等部の生徒は憧れのお兄さんお姉さんなのです。

校長 柘植雅義

 

校長室便り3

手をつないで

 

 先日、午前中の運動会の合同練習の後、昼過ぎから、係りの二人の先生が、近隣の大学の大学生10人と一緒に、運動会で使う観覧席の大型テントの金属の骨組みを倉庫からいくつも持ち出して運動場に運び始めました。

 

 その係りの先生の内、幼稚部の先生が、クラスの子と一緒に運動場に出てきました。新幹線が大好きなその子のTシャツには、素敵な新幹線がいくつもプリントしてあります。そして、もう一人の小学部の先生と共に、大学生に説明しながら作業を始めました。

 

 近くで、その様子を見ていた幼稚部のその子が、突然、(担任の先生に気づかれずに?)その場を走って離れようとしたので、近くに歩み寄って、「遠くに行かないでね。〇〇先生、あっちだよ。」と言って手を差し出すと、その子の方から、私の手をつないできました。そして、テントの骨組み作業の方へ行くと、担任の先生の様子をじっと見詰めています。「〇〇先生、カッコいいね。」と言うと、「カッコいい」というような言葉は、その子には分からないかもしれないけど、何やら、先ほどよりももう少し強く私の手を握ってきたように感じました。あたかも、「うん、そうだよ、校長先生、僕の〇〇先生、カッコいいでしょ!」と言っているかのように。

 

 少しすると、作業を見るのが飽きてきたのか、その場を離れて、運動場に面した1階の小学部のはな組(1〜2年生)、つき組(3〜4年生)の方に、行きました(私の方が手を引っ張られていく感じで)。

 窓から教室の中をのぞき込むと、窓際にいた、はな組の子がこちらを気にしてくれたり、はな組の先生も気が付いて「あ、校長先生に手をつないでもらっているね。」とか言ってくれたりしました。

 近くでは、2人の大学生が、テントが風で飛ばないようにするための重りにするプラスチックの容器に、ホースで水を入れていることでした。水が勢いよく入っていく様子を、しばらく一緒に見ました。やはり、私の手を離しません。

 

 やがて、幼稚部の他の先生が、他の子どもたちと校舎から外に出てきました。「友達、出てきたよ。」と言って、そちらのほうに歩き始めると、それまでつないでいた手をさっと離して、その先生と友達の方へ走って行きました。背中の新幹線が、あっという間に小さくなっていきました。

校長 柘植雅義

 

校長室便り2

Social Skill Training (SST)、Response to Intervention(RTI)、

Applied Behavioral Analysis(ABA)、Parent Training・・・

(社会的スキル訓練、指導(教育的介入)への反応、応用行動分析、ペアトレ、・・・)

 

 最近、本校の何人かの保護者から、「先生方がどのような研究をされているのか、もっと知りたい。」という声を聞きます。保護者の方からそのような声が聞こえてくるのは、とても嬉しいことです。

 そのような声が聞かれるのは、本校が教育憲章に掲げた5項目の一つに、「学術研究に基づく確かな指導・支援を行います」があるからでしょうか。あるいは、保護者に依頼している学校評価の項目の一つに、「学術研究に基づいて確かな指導・支援を行っていると思いますか」があるからでしょうか。 さらには、年に何度か、授業研究会や研究協議会などの日は、登校後、数時間の授業で下校するからでしょうか。あるいは、本校の教員は、毎年、いろいろな全国的な学術学会で、たくさんの研究発表をしてきている、ということを、保護者の皆さんに機会あるごとにお話ししているからでしょうか。

 早速、まずは、つい最近、教育関係の新聞に3回連続で掲載された本校の教育実践を、玄関入り口に掲示しました。

 

 例えば、社会的スキル訓練 Social Skill Training(SST)、指導(教育的介入)への反応 Response to Intervention(RTI)、応用行動分析 Applied Behavioral Analesis(ABA)、ペアトレ(ペアレントトレーニング)Parent Training などは、近年、日本も含め世界各国でその有効性の検証が行われていきています。

 

 近年、エビデンス(根拠)に基づいた指導・支援とか、エビデンスに基づいた政策とかが、注目されています。教育学、心理学、社会学等の分野で、様々な研究方法によって、個々の指導・支援の効果が確認されてきています。世界的な動向です。

校長 柘植雅義

 

校長室便り1

好きなこと・得意なこと

(入学式 校長挨拶 2019年4月9日)

 

 新入生の皆さん、入学おめでとうございます。

 皆さんが、この4月に、附属大塚に入学して来ることを、心待ちにしていました。

 今から3つのお話をします。「附属大塚を楽しむ」ということ、「好きなこと・得意なこと」ということ、そして、「皆さんのお家の人へのお話し」です。

 

 附属大塚は、とても楽しい学校です。

 それは、いろいろな勉強があるからです。音楽、図工、体育、国語や算数・数学、理科や社会、英語、それから、作業学習や現場実習、・・・。運動会や大塚祭、スキー合宿、それから、富士山への宿泊学習や、高尾山登山や、修学旅行・・・。楽しいですよ。

 附属大塚が楽しいもう一つの理由は、先生方が上手に教えてくれるので、分からないことや難しいことも少しずつ分かっていくからです。いいですね。

 さらに、附属大塚は、友達や先生がとても優しいです。何か困っていると、すぐ近くに寄って来てくれて声をかけてくれます。そして、一緒に考えてくれます。

 だから、とても附属大塚は、とても楽しい学校です。

 

 次に、附属大塚で、好きなこと・得意なことを見つけてください。

 言葉では上手にお話しできないけどタブレットやパソコンを使って相手とお話しできますとか、足し算とか引き算とか掛け算とか割り算とかが得意ですとか、速くは走れないけど休まず長く走ることができますとか、ピアノとかドラムとかを演奏します・・・。何でも良いですよ。

 それから、学校の勉強の他にも、何か好きなことを見つけてください。歌が好きでカラオケに行きますとか、いろいろなラーメンを食べてみるとか、いろいろな電車に乗って写真を撮るとか、パソコンを使って作曲をするとか、昔の物語を読んでみるとか、マラソン大会に出るとか・・・。

 好きなこと・得意なことをたくさん作っていってください。そうすることを、先生方は、きっと応援してくれます。

 

 最後は、皆さんのお家の人へのお話しです。皆さんは少し待っていてください。

 保護者の皆様、改めまして、本日は入学おめでとうございます。 

 日本には、1000校の特別支援学校があり、何万校もの幼稚園、小学校、中学校、高等学校がありますが、その中から本校を選んでくださり、ありがとうございます。

 本校は、教育憲章に掲げているように、世界最高水準の知的障害教育を目指しています。これは、とても難しいことかもしれません。しかし、皆様方が本校の教育にご理解いただき、ご協力いただくことができれば、きっと、その夢は叶えられるものと信じています。子どもたちの幸せや夢の実現に向けて、共に取り組んでいきましょう。

 

 これで、お祝いの挨拶といたします。

校長 柘植雅義

 

 

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