校長室便り

平成26年度 校長室便り

平成26年度運動会にて
平成26年度運動会にて

柘植雅義

 

筑波大学附属大塚特別支援学校校長

 

筑波大学教授(人間系 障害科学域)

校長室便り 24

「かたつむり ゆっくりのぼれ 富士の山」

2015313日 卒業式 校長挨拶から

 

 卒業生の皆さん、卒業おめでとうございます。皆さんがこんなに立派になって、また少し大人に近づいてくれたこと、とても嬉しいです。

 

 今から3つのお話をします。一つ目は「感謝」ということ、二つ目は「夢」ということ、そして、三つ目はお家の人へのお話しです。

 

 まず一つ目のお話しです。卒業生の皆さんは、附属大塚での勉強や運動や行事、どれも楽しかったでしょう。それは、皆さんが、いつも友達と仲良くし、先生方の話をよく聞き、皆さんが一所懸命に頑張ったからです。それから、先生方が、皆さん一人一人のことを大切に思って、皆さんにいろいろ教えてくれたからです。そして、皆さんのお家の人が、そんな皆さんを助けてくれていたからです。だから、頑張った自分や、いろいろ助けてくれた先生やお家の人に、「ありがとう!」と心の中で言ってくださいね。

 

 次に二つ目のお話しです。校長先生から皆さんにプレゼントがあります。とても良いプレゼントです。それは、校長先生が皆さんの様に子供の頃、卒業式で、その時の校長先生が皆にプレゼントしてくれた言葉です。

 「かたつむり ゆっくりのぼれ 富士の山」

 小さな“かたつむり”が、日本一高い富士山に登るのは大変ですね。でも、夢に向かって、登るぞという気持ちを持って、ゆっくりゆっくり進んでいくと、きっと上の方まで行けると思いますよ。そして、附属大塚は、そんな皆さんを、これからもずっと応援していきます。

 

 三つ目のお話しは、お家の人にしますので、皆さんは少し待っていてください。

保護者の皆様に一言お礼を申し上げます。本日はお子様のご卒業真におめでとうございます。本日このように子供たちが卒業を迎えられたことは、皆様方の日頃の、附属大塚の教育への深いご理解と様々なご協力の賜物と感謝しております。

 子供たちは、4月からそれぞれの進路に向かって新たなチャレンジを始めます。その道のりはとても楽しくきっと明るいものと信じています。しかし、途中、大きな困難にぶつかるかも知れません。どうぞ、未来に向けてたくましく自立していくお子さんに、これまでと同じ様に暖かく寄り添って見守ってあげていってください。

 

 これで、お祝いの挨拶といたします。

 

 卒業生の皆さん、卒業おめでとう!

校長 柘植雅義

校長室便り 23

ブランド(brand) と個性と「カッコいい!」

 

 何回か前の校長室便りで、附属大塚の教育を一言で言うと「憎たらしいくらい、カッコいい!」と書きました。その後、「教育という営みに対する「カッコいい!」という表現の仕方がカッコいい。」というような声が届きました。

 

 出張で初めて出かけた街で、時間調整でふと入った何気ない喫茶店。入ってみると、テーブルの配置や、照明、一輪ざし、それにBGMと、店内の空間が憎たらしいくらいオシャレで、店員のサービスがとてもスマートで、この喫茶店カッコいい!と思うことがあります。あるいは、車を走らせていて、たまたま信号のない交差点で、絶妙のタイミングで「どうぞお先に(after you!)」の仕草が何とカッコいい人なんだろうと思うことがあります。

 このような個別の、一過性の、あるいは偶然のカッコよさが継続し、しかも多くの人がそれに気付き、多くの人が確かにそう思い始めると、それは、もはやたった一人の感性のレベルを超えて、個性という段階に達するのだと思います。しかも、個性は、人にも、物にも、事にも、行為にも、環境にも存在します。

 

 そして、個性がさらに一定レベルの水準に達して、しかも他にはない揺るぎない固有性を持って、プラスの“価値”付けが強くなされ、その結果、多くの人々の憧れの対象にまで定着すると、それはもはやブランド(brand)になるのだと思います。

 

 日本の特別支援教育を、世界的なブランドに高めること、それが私の夢です。(『特別支援教育 -多様なニーズへの挑戦-』)。

校長 柘植雅義

校長室便り 22

満面の笑顔

 

 先日、いつもの様に、幼稚部、小学部、中学部、高等部を回って、ある教室に入ると、男の子が私に近づいてきました。そして、私の手を力強くぐっと握って、もう片方の手に持っていた情報端末の画像を私に見せて何やら一生懸命、私に言おうとしているようでした。背も高く体も大きく、私の手をぐっと握る力はとても強かったです。

 それ見ていた女の子から、「校長先生、手、痛くないですか?」と声が聞こえました。そして、近くにいたベテランの教師が、「校長先生、関わって欲しいのだと思います。」、という声。そこで、情報端末を持つその子の手を取って画像を見せてもらって、「この絵、面白いね、この絵、好きなの?」、とその子の顔を見て笑顔で話しかけると、情報端末をもっと私に押し出すようにしました。もっと見てよ、と言うかのように。そして、もう片方の手で、また私の手を取って力強く握ってきました。しかも、何と、これまで見たことのないような満面の笑顔で。

 

 知的障害のある子には、自分の要求や思いを相手に言葉で上手い具合に伝えることが苦手で、身振りや態度などの行動で示す子がいます。したがって、子どもがする一つ一つの行動が、どのような型で、どのような背景で、どのような意図(機能)を持っているのかを正しく察すること(行動アセスメント)が、教師にはとても重要です。それが上手くできるようになると、その子どもはストレスも少なく、教師とのコミュニケーションを楽しめます。

 

その男の子は、幸せな子だと思います。なぜなら、音声だけではうまく相手に伝えることはできないものの、身振りや態度で一生懸命示す自分の要求や思いを、適切に察して、代弁してくれる人(教師)が、いつも教室にいるからです。

 

 本校の子どもたちへ

 言葉の勉強、難しいですね。でも、相手にお話しするだけでなく、相手の手を握ったり、見てほしいものを相手に差し出したりすることも大切ですよ。そうすることで、きっと先生方は皆さんが何を言おうとしているのか分かるからです。良かったですね。上手くお話しできなくても、遠慮せずに先生方にいろいろ関わってみてくださいね。

 

 校長 柘植雅義

校長室便り 21

憎たらしいくらい、カッコいい!

 

 先日、本校の知的障害児教育研究協議会の第50回記念大会を開催しました。北海道から沖縄までたくさんの方々が参加され、またしてもコンパクトな附属大塚が大混雑。

朝9時頃から、幼・小・中・高の全ての授業を2時間ほど公開した後、全体会の冒頭で、開会の挨拶方々本校の教育について説明しました。その中で、本校の教育を一言で言うと、「憎たらしいくらい、カッコいい!」という感じです、と話しました。

 

 よく練られた授業、工夫満載の授業研究会、それらを支える独自のカリキュラムとツール「学習内容表」「個別教育計画」「指導計画集」、国内外の学術研究の成果を踏まえた指導法の工夫。でも指導がギラギラせず子どもの主体性を第一に教師の指導・支援はあくまでもナチュラルで控えめ。成果のいろいろなチャンネルでの発信。そして何よりも、それらの活動に脈々と流れる本校の50年以上前の設立当初から続く知的障害のある子供への教育の基本的な考えと姿勢。長い歴史に驕らず、現状維持に留まらず、さらに良いものに一つ一つ変えて行こうとするチャレンジ精神。

 

 だから、本校の教育を一言で言うと、「憎たらしいくらい、カッコいい!」となるのです。

 

 本校の子供たちへ

 先日は、たくさんのお客さんが皆さんの勉強の様子を見てくれましたね。皆さんが下校した後、担任の先生方は、たくさんのお客さんと一緒に勉強したのですよ。皆さんが、もっと楽しくもっとたくさんのことを勉強できますように、そして、立派な大人になれますように。そう言えば、あるお客さんが、「この学校の授業は、子供も先生も皆楽しそうですね。」と話しかけてくれました。

 

校長 柘植雅義

校長室便り⑳

『きみのかわりはどこにもいない』

 

先日の合同朝会で、子どもたちに羊の話をしました(今年の干支(えと))。

 「羊は、ふわふわで暖かそうですね。」

 「羊は、ゆっくり、ゆったりしています。でも赤ちゃん羊と一緒にいるときにオオカミに襲われそうになると、母親羊はすごく怒るのですよ。」

 「羊は、友達が大好き、いつもたくさんの友達と一緒にいますよ。」

 「羊は、前だけでなく後ろの方も見えるらしいですよ。それから、他の羊や人間の顔が分かるらしいですよ。すごいですね。」

 子どもたちは皆、そんな羊が大好きです。

 

 子どもたちに羊の話をしている時、ある絵本のことを思い出しました。

 羊飼いが、100匹の羊を連れて山や野原や河原を一日歩き、夕暮れ近くに家に戻りました。家の前で羊の名前を順に呼んで数えていったら、一匹足りませんでした。羊飼いは、慌てて、ランプを持って暗闇の中、その日に出かけた所を辿って探しに出かけました。その羊の名前を大きな声で何度も呼び、一晩中探し回り、もうくたくたになりました。そして、夜明け前にやっと迷子の羊を見つけました。体が木の枝に引っかかって動けなくなっていました。羊飼いは、迷子の羊を見つけてほっとしました。そして、その羊も、羊飼いを見てほっとしました。羊は皆、顔も体も性格も違います。一匹一匹皆違います。だから、“かわり”はいないのです。(『きみのかわりはどこにもいない』)

校長 柘植雅義

校長室便り⑲

知能は高ければ高いほど幸せか?

 

 この問いは、知的障害教育に関わる人々には良く知られたものです。

今から5060年ほど前、主人公である知的障害のある大人の知能が徐々に上がっていき、やがて他の人以上に非常に高い状態になったという想定で、その人の幸と不幸について考えさせられる作品”Flowers for Algernon”が出版されました。(『アルジャーノンに花束を』)

 

 実はこの問い、非常に難問です。

 先ず初めに、“知能”とは何か、“幸せ”とは何か、をそれぞれ明確に決めておく必要があります(心理学の用語で操作的定義)。この作業は非常に難しいです。双方をそれぞれどのように捉えるかによって、双方の関係性が大きく異なってきます。さらに難しいのは、“知能”も含めて、たとえ置かれた状況が同じ様であっても、本人がそれを“幸せ”と思うかどうかが個人によって異なるからです。そして、そもそもその人を取り巻く周りの状況の整い具合(取り巻く環境・・・あるいは共生社会の実現レベル?)によって、たとえ“知能”が同じ様であっても、個人が“幸せ”と感じるかどうかに大きく影響するからです。まだまだ他の要因もあります(例えば、本人自身の感じ方ではなく、他者から見たときにその人が“幸せ”(に見える)かどうか、など)。

 

 この問いは、2012年に、東京大学の大学院(修士課程・博士課程)で私が行った講義「特別支援教育特論」の最終試験として課したレポートの問題の一つでした(教育学分野、心理学分野、行政学分野から計15問の内、一問を選んで答える方式)。(『特別支援教育 -多様なニーズへの挑戦-』)

 校長:柘植雅義

校長室便り⑱

201518日 始業式 校長挨拶から)

 

 皆さん、おはようございます。今日は始業式です。3学期の始まりです。今から3つのお話をします。1.冬休みのこと、2.夢のこと、3.3学期のことです。

 

 一つ目のお話は、冬休みのことです。冬休み、楽しかったですか? お正月、おもち食べましたか? お年玉、もらいましたか? お買い物や、旅行に行った人もいるかな? 旅行は、箱根かな? それとも、昨年お客さんが来てくれたアフリカかな?、韓国かな?、それとも、台湾?、アメリカ?・・・。風邪をひいて、病院に行った人もいるかな?

 

 二つ目のお話は、夢のことです。お正月に、夢を見ましたか? 今年は、何をしたいですか? 今年は、何をがんばりたいですか? それから、来年とか、10年後とか。そして、どんな大人になりたいですか? 

夢を思い描くことは、とても大切ですよ。皆さんだけに、いい話をします。それはね、・・・「大きな夢を見ると、その大きな夢が叶う。小さな夢を見ると、その小さな夢が叶う。」・・・です。だから、皆さん、大きな夢を思い描いてくださいね。そして、夢を見つけたら、それに向かって、勉強とか、運動とか、お家のお手伝いとか、一生懸命、頑張ってください。そうすると、皆さんの夢は、きっと叶いますよ。

それから、皆さんの夢を、先生やお家の人に教えてあげてくださいね。

 

三つ目のお話は、3学期のことです。もちつき会とか、スキー合宿とか、楽しみですね。卒業生の成人式もありますよ。そして、3月は、いよいよ卒業式です。3学期は、とても寒いです。でも、2月になって、3月になって、卒業式の頃には、暖かくなって、桜が咲くかもしれません。だから、3学期も、健康で、元気に、楽しく、仲良く、頑張りましょう。

 

 これで、校長先生のお話を終ります。

校長:柘植雅義

校長室便り⑰

『井戸を深く掘ること』『裾野を広くすること』

 

 「人が豊かに育っていくために大切なことは何か」と問われれば、いつも迷わず、『井戸を深く掘ること』と『裾野を広くすること』、と答えている。

 そして、それは、子供でも大人でも、障害があろうとなかろうと、教師であっても他の職業であっても、同じだと思う。

 

 本当はたくさんの井戸を掘ってみたい。たった一つで良いか、不安にもなる。しかし、とにかく一つ掘れば、いろいろなことが見えてくる。深く深く掘れば掘るほど、たくさんのことが見えてくる。自信が付いてくる。そして、掘らなかった場所の井戸の下の方で、実は繋がっていることにも気が付く。

 

 本当は早く高く石を積んでいきたい。脇目も振らずにどんどん積んでいきたい。急ぐ気持ちは分かる。でも、裾野が広くどっしりとしていないと、不安定で高くは積めないし、せっかく積んだものが途中で倒れてしまうかもしれない。やり直しは辛い。それに、裾野を広く取っているうちに、高く積もうと思っていた地点が変わるかも知れない。

 

 本校の子供たちへ

 附属大塚の勉強、楽しいでしょう。いろいろな勉強があるからですよ。そして、いつもの絵本とか、デカパンとか、室内ゲームとか、東北福呼とか、何回も何回もする勉強もあるからですよ。もっと勉強したいことがあったら、今度、担任の先生に教えてあげてくださいね。

 

校長:柘植雅義

校長室便り⑯

障害者政策委員会

 

 「障害を理由とする差別の禁止」と「合理的な配慮の義務(努力義務)」が明記された、画期的な法律「障害者差別解消法」の施行に向けた準備が、障害者政策委員会で進んでいます。

 

 この委員会は、(1)様々な障害の当事者、(2)障害に係る団体の代表、そして、私の様な関係分野の(3)学識経験者、の3者から30名ほどで構成されています。

 

この20148月に委員に就任しました。内閣総理大臣の任命によるもので、内閣府に設置されています。この委員会の目的は、障害者基本法に基づく障害者基本計画の策定又は変更に当たって調査審議や意見具申を行うとともに、計画の実施状況の監視や勧告を行うこと等です。

9月からは特に、20136月に成立し20164月に施行予定の障害者差別解消法に係る、政府の「基本方針」の原案作成に関する会議が何度か開催されました。パブリックコメントを経て閣議決定がなされ、その後、各省庁の主務大臣等による準備が進み、20164月の法の施行を迎えることになります。

 

 この委員会で話題になった論点を一つ紹介します。それは、例えば、大人(になった人)が、障害者への差別的な言動や行動をした際にこの法律で罰する、ということだけではなく、そのような大人にしないように、子供のうちから学校や家庭で丁寧な教育を行っていくことが重要だ、というものでした。私のみならず、実は多くの委員がこのような意見を述べられました。大切な視点です。

 

 本校の子供たちへ。いろいろな学校の子供たちと一緒に勉強したり活動したりすること、楽しいでしょう。今度は、附属駒場高校の生徒さんが附属大塚に来てくれますね。附属大塚で勉強していること、歌やゲームや楽しいこと、高校生のお兄さんお姉さんにたくさん教えてあげて下さいね。

 

校長:柘植雅義

校長室便り⑮

「学習の成果を発表する」ということ

 

 先日、大塚祭、いわゆる学習発表会が開始されました。

子供たちのお家の方々、本校卒業生、地域の方々など、たくさんの方々が参加されました。体育館、各教室、そして、玄関先まで、コンパクトな附属大塚の中が大渋滞でした。

 

 さて、知的障害教育では、日々の授業や校外での活動などにおける学習の成果を発表することがとても大切です。

一つ一つの授業や活動が、目的や内容を持ち、適切な方法で展開されていくのですが、それらは、実は、より大きな単位である、単元とか、年間指導計画とか、学年目標とか学部目標とか、ひいては、学校目標にもつながっていくのです。一つ一つが、まさに網の目のように繋がっているのです。したがって、日々の一つ一つの授業や活動を見ていただくことと共に、それらを何等かのまとまりとして見ていただくことも大切なのです。本校が長年に渡って大事に進化させてきている教育課程は、まさにそれらを縦断的に見つめ繋いでいく仕掛けです。

 大塚祭は、まさに、そのようなまとまりの一つです。

 

 そういえば、学術研究も、研究をするということと共に、研究の成果を学術学会などで発表するということが大事です。そして、一つ一つの研究は、実は、より大きな研究の一部でもあるのです。そもそも研究とは、研究してその成果を得るということと、その成果を広く発表するということの両方から成り立っている、と言ってもよいでしょう。

 

 本校の子供たちへ。大塚祭、がんばりましたね。毎日、みなさんがいっしょうけんめい勉強していることが、あれもこれもステージで発表されていましたよ。大塚祭までに、たくさんの勉強を教えてくださった担任の先生方に、「ありがとうございました!」と心の中で言ってみてくださいね。

 

校長:柘植雅義

校長室便り⑭

チキンライス

 

 本校の給食は、美味しいです。子供たちからも、教師からもとても評判です。

 

一品一品がおいしいのはもちろんのこと、それらが上手い具合に組み合わされて、その一つ一つが役割を果たしつつ、総体としてのメニューがとても良いのです。

 

さて、先日のメニューは、チキンライス、ワカメと小松菜のスープ、ブロッコリーのサイコロチーズ和え、そして、牛乳でした。

 

 早めに給食を食べて(検食)、各教室を回りました。すると、ちょうどその日は、栄養教諭と養護教諭が一緒に各教室を訪問して、食事の様子を把握する日でした。本校は、食と健康に特に配慮し、両教諭がいろいろな工夫をして取り組んでいます。例えば、玄関を上がったところの展示コーナーとか、食育キャラクター「ごこくクン」とか、いろいろなお米で炊いたご飯のコンクールとか、・・・。お米をテーマに、附属桐が丘特別支援学校と共同研究にも取り組んでいます。

 

 チキンライスは、どの子も大好きなメニューのようで、皆、笑顔で食べていました。高等部の生徒は、大きなお皿に盛られたチキンライスを元気よく口に運び、しっかり噛んでいました。一方、幼稚部では、小さなお皿に、教師が肉や野菜をさらに小さくしたり、ペースト状にしたりしたものが盛られている子もいました。

 

 本校の子供たちへ。毎日の給食、おいしいでしょう。お家に帰ったら、今日食べた給食のこと、お家の人にたくさんお話しして下さいね。

 

校長:柘植雅義

校長室便り⑬

附属大塚と地域との関わり

 

 附属大塚は、地域との関わりがとても豊富な学校です。

 

例えば、先日の土曜日、バザーが本校でありました。中学部や高等部が作業学習などで作成した物も並んでいました。小学部の子供たちは、その様子を見学したり買い物したりしていました。そして、販売係の子供たちは、商品を用紙に包んだり、ビニール袋に入れたり、そして、お金のやりとりも含めた販売も、先生と一緒にしていました。広い体育館が、保護者や地域の人々大勢で大変賑わっていました。

 また、先日は、学校周辺の清掃活動として、中学部と高等部が、学校を出て少し行ったところの春日通りの両側の歩道の清掃をしました。近くの警察署の方々や町内会の人々と一緒にしました。近くには、大学や学校、住宅などが多く、清掃活動の様子をたくさんの人々が見ていってくれました。

 あるいは、曜日を決めて、放課後に幼稚部の園庭や遊戯室を地域の人々に開放し、同時に乳幼児教育相談も開設します。また、乳幼児の子供をもつ保護者の方を対象に、子育て等に関わる連続講座も開催します。今年度は年間8回の開催で、本校の教職員や、本校に関わりのある大学教員、そして、文京区の職員の方などが講師です。

 そして、そもそも、5月の運動会などの行事には、いつも地域の多数の方々がたくさん来て下さいます。

 

 小学校も中学校も高等学校も地域との関わりは大切です。でも、もしかしたらそれ以上に、特別支援学校こそ、地域との関係や結びつきが大事なのではないかと思います。障害があるとかないとかではなく全ての人々が大切にされ、そして、障害のある人とない人が共に学び、共に生活することを大切にするような、そんな「共生社会」の実現に向かって、これからも地域との関わりを大切にしてきたいと思います。

 

 今度の土曜日は、本校修了生の保護者が運営する桐親会による定例の和太鼓クラブの日です。本校の子供たちや本校の卒業生らが、和太鼓を楽しみます。秋の空に和太鼓の音色が聞こえたら、ちょっと覗きに来てみませんか。

 

校長:柘植雅義

校長室便り⑫

『ダウン症の子をもって』『自閉症の子を持って』

 

 ダウン症や自閉症等の子がいる家族による手記がある。日本でも何十年も前から出版されてきているが、近年、増えてきていると感じる。知的障害教育に関わる人々は、おそらく何冊かは読んだことがあるのではないだろうか。

 

 このような手記はそもそも非常に貴重であるが、特別支援教育に関わっている人々にとっては、特に貴重であると考える。

なぜなら、それらの手記の中では共通して、そのような保護者がどのように障害のある我が子のことを思い、障害について思い、子育てをし、生活をし、そして、他の親にはない何を得て、何に困り、そして、将来に向けてどのような夢を抱いているのか、等が語られているからである。教師が、このような事柄に触れることで、保護者により良く寄り添うことができ、その上でより良い教育が展開できたら、と願う。

 

 今の時代は、保護者は特別支援教育をただ期待して待つ時代ではない、と常日頃考えている。我が子のために、そして、特別支援教育を必要としている全ての子供のために、特別支援教育をさらに進化させていくことに、教師と保護者が一緒に知恵を絞って汗を流して協力して取り組んで行けたらいいなあと思っている。

 

だからこそ、このような手記に触れることは、教育関係者にとって貴重なのである。そして、インクルーシブ教育システム構築の現代、その活用の工夫によっては、小中高等学校で障害理解等について子供たちに教える際の教材としても有効かもしれない。

 

 校長:柘植雅義

 

 

校長室便り⑪

集団指導と個別指導:幼稚部の工夫

 

知的障害教育においても、広く特別支援教育においても、いやもっと広く教育全体においても、(1)目標、(2)内容、(3)方法、の3つが基本です。そして、(1)(2)と同様、この(3)も、子供一人一人にカスタマイズしていくのです。

 

 幼稚部では、毎週1回、全ての子供が個別指導を受けるシステムがあります。その日は、他の子供が登校する時間よりも早めに登校します。子供一人に先生が一人という1対1の指導方法です。保護者の皆さんには、隣の部屋からワンウェイ・ミラー(片方の側からのみ見えるガラス)越しに指導の様子を見ていただきます。そして、指導後は、その指導の(1)(2)(3)も含め、頑張ってできたこと、今度の指導で取り組みたいこと、などの話し合いを教師と保護者とでします。

 

 今日は、3名の子供が個別指導を受けました。

Aさんは、青と赤のたくさんの色板を、青、赤、青、赤、青、赤、・・・と順番に机の上に並べていく課題に取り組んでいました。そして、その後は、同じ色毎にお皿に区別して入れていきました。

 Bさんは、子供の手で掴むと一杯になりそうな、少し大きめのカラフルな色のついた木製の球の穴に、先に棒がついた紐を通していきます。その時に、色の名前を教師から教えられて、一緒に「みどり!」とか「あお!」とか言っていきました。

 Cさんは、先生と一緒に、透明の黄色のビーズを使って、腕にはめるリングを作りました。そして、オレンジ色のものと両方を持っていて、嬉しそうに見せてくれました。どちらもきれいに光って、とても素敵でした。

 

 そして、このような個別指導の目標、内容、方法というと、他の様々な集団指導の場面での目標、内容、方法というたくさんのを、如何に上手い具合に重ね合わせながら紡いでいくかが知的障害教育の最も重要なポイントの一つだと思います。

 

 幼児の皆さんへ。毎週1回の先生との個別指導、楽しいでしょう。待ち遠しいですね。皆さんの勉強の様子を見ていたお家の人が、お家でもやってみようかな、って話していましたよ。

 

校長:柘植雅義

校長室便り⑩

子供同士で認め合い、褒め合い、支え合うこと

 

 新学期が始まりました。

 

 今日は、保護者会、教育実習、介護等体験と、コンパクトな附属大塚がとても賑やかでした。そして、年間を通して、国内外からの見学者や、本校で研究を進める研究者など、おそらく、学校を訪れる人々は国内の特別支援学校で最も多いのではないでしょうか。それだけ、附属大塚への期待が大きいこと、多くの人々から注目されていることを忘れずに取り組んでいきたいと思います。

 

 さて、保護者の皆さんも教室の中で授業を参観する中、小学部の1~2年生の教室(はな組)に入ると、8人全員の子供が3人の教員と一緒に、「迷子の迷子の子猫ちゃん、あなたのお家はどこですか?」と歌っていました。前に出た3人の子供が、歌の併せて、「お家はどこですか?」「名前は何ですか?」と聞いたり、聞かれても分からないと答えたりしていく小さな劇遊びのようなものでした。

 

 歌が終わると、その劇を見ていた子供たちが、教師から促されて立ちました。「○○さんは・・・良かったです。」「△△さんは・・・頑張りました。」「□□さんは・・・上手でした。」というような感想を言っていきました。3人がした劇の全体的な感想を言う子もいました。また別の3人の劇が終わると、今度は、見ていた別の子供が順に感想などを言って行きました。

 

 知的障害教育では、子供同士で、お互いを認め合い、褒め合い、時には、支え合うこと、このような気持ちや態度を早い時期から育てていくことは非常に大切です。中学部になると、このような気持ちや態度を、より組織的体系的に指導をしていきます(「グリーンカード・システム」「グットポイント・システム」)。

 

 児童生徒の皆さんへ。附属大塚の子供たちや先生たちだけでなく、誰もが、お互いを認め合い、褒め合い、支え合う、そんな社会や国になることを願って、頑張って勉強しましょうね。

 

校長:柘植雅義

校長室便り⑨

夏の暑い日、9月からの授業の準備で

 

8月の暑い日、大学での仕事を午前中で切り上げて、午後から附属大塚に出かけました。

 

副校長先生とのあれこれの打ち合わせの後、校内を巡りました。登校日ではないので、子供たちは一人もいない日でした。

 

 ある部屋では、一人の教員がたくさんの教材を作っていました。9月からの授業で使う教材とのことで、自ら描いた設計図を基に、木片を削ったり、穴を開けたり、していました。色の区別もあるようです。教える内容や方法によっては、どの子供にも同じ教材、とはいかないもので、一人一人に一工夫加えたものが必要になります。とても手間暇かかることですが、一人一人を思い浮かべながら、その子供の発達段階とかニーズに応じて、カスタマイズして教材を作っていきます。このことは、知的障害教育に携わる者にとって、特に大切にしたいことの一つでしょう。

 そして、おそらくその教員は、教材を作りながら、それを使って9月からそれぞれの子供たちにどのように指導していこうか、と思い描いていたことでしょう。

 

 別の部屋では、ある教員が、芸術の専門のベテランの教員から、ある授業で使う道具の本格的な作成の仕方を教えてもらっていました。やはり、9月からの授業の準備とのことでした。知識や技能について、身近に個別指導が受けられるなんて、何かちょっと贅沢な感じがしました。

 

 それぞれの学部の先生や、事務職員の方、用務員の方が、9月からを見据えて、日頃はできないようなことを、この夏のまとまった時間のとれる時にしているのですね。

 

 もうすぐ9月。楽しみです。

 

校長:柘植雅義

校長室便り⑧

この夏、附属大塚による3つの公開研修

 

 附属大塚では、この夏、3つの公開研修を企画しました。

 

 725日(金)、26日(土)、一つ目の公開研修会が2日間にわたって実施されました。幼稚部が実施主体で、テーマは、「特別な支援を必要とする子供の理解と保育 実技と演習-」でした。

2日目の午後は、支援のためのツールを作ろう、というグループワークの時間でした。教室内に入ってみると、幼稚部がこれまで開発し活用している様々な教材・支援ツールが、会場となった幼稚部の教室内に展示され、それらを参考に、それぞれの参加者は思い思いの教材・支援ツールを作っているところでした。

 参加者がチャレンジしていたのは、シャツや上着などを順にたたんでいくことを学ぶための1、2、3、・・・と順に番号シールが貼り付けてある模擬的な衣服の教材の作成、日常で起こる様々な行動をイラストで図示したカードの作成、いろいろな行動を一つずつ手でもって相手に示せるようなペープサートの作成、などでした。

 

 二つ目の公開研修は、7月29日(火)、30日(日)で、テーマは、「特別支援教育における教材・教具の活用と制作」というもの。初日の二つの講義に参加しました。一つ目は、本校の高等部主事による「教材・教具の基礎と実践」で、知的障害のある子供の教材・教具についての基本的な考えや実践する際の配慮事項などについて分かりやすく話されました。

その後の講義では、2名の教諭から、音声発声システムと音声ペンの紹介があり、それらの活用事例も話されました。2日目は、終日、いくつかのグループに分かれて、教材・教具の制作にチャレンジです。

 

 三つ目の公開研修は、8月6日(水)、7日(木)で、テーマは、「自閉症児における社会性支援プログラムの実際」です。自閉症児における初期社会性発達について、その理論とアセスメント、そして、支援の実際について、演習を交えて学びます。これも、楽しみですね。

 

 いずれの公開研修も、全国各地から学校の先生方が附属大塚に集まってきます。実習・演習が伴うことから、どの研修も参加人数を決して多くはせず、講師陣とじっくり向かい合って、研修に参加していただけけるようなスタイルになっています。でも、希望に添えなかった方には申し訳ないです。

 

 このような機会を通して、附属大塚の日頃の実践を全国の先生方に知っていただけることはとても嬉しいことです。何か参考になればと思います。そして、逆に、参加してくださった先生方から、こうすればもっと良いのではないか、とか、こんな工夫もできるのではないか、等という声がいただけることも、とても大切なことだと思います。

 

校長:柘植雅義

校長室便り⑦

月曜の朝は合同朝会

 

 毎週月曜日、朝9時になると、小学部、中学部、高等部の子供たちが皆、体育館に集まってきます。合同朝会があるからです。幼稚部の子供たちは、登校時間の関係等で、幼稚部だけで行います。

 

 先日の合同朝会のメニューは三つでした。

 

一つ目は、校長先生のお話、というコーナーで、これは毎週あります。7月は、「暑い夏を元気に過ごそう」というテーマで、その日は、食事のこと、睡眠のこと、運動のことを話しました。ちなみに、6月のテーマは「マナー」でした。「すてきな『ぼく・わたし』になるためにマナーを守ろう」というもの。視覚支援は少なめにして、簡単な文章(スライド)だけで話すようにしています。上手く伝わっているかな。

 

 二つ目は、7月と8月のお誕生会です。この期間に誕生日を迎える子供が順に名前を呼ばれ、ステージに出てきて一列に並んだ後、ハッピー・バースデーの歌を皆で歌いました。そして、高等部のお兄さんお姉さんから、彼らが校内実習で作ったカラフルなタオルをプレゼント。そして、何歳になったか(もうすぐなるか)と副校長先生から聞かれました。18歳です、と答えた子もいました。もうすぐ大人ですね。

 

 三つ目は、この日は、小学部の出し物でした。昨年の小学部全員で、東京学芸大学附属竹早小学校、そして、日本大学芸術学部の学生さんと一緒に作成したアニメの上映がありました。本校の体育館で子供一人一人が書いた計500枚の絵を、上手い具合に繋げて、学生さんが3分のアニメにしてくれました。本校の子供たち、頑張りましたね。一緒に参加してくれた小学校の皆さん、そして、一人一人の素材を見事な芸術作品!に仕立て上げてくれた芸術家の卵の学生さんらに、感謝です。

 その後には、小学部5~6年生が先月出かけた、富士山方面への宿泊学習の紹介もありました。ビデオには、子供たちの楽しそうな姿の後ろに、先生方のさりげない優しいサポートが写っていました。

 

 この毎週の合同朝会は、準備から、司会を含めた進行、そして後片付けなど、高等部の子供たちが手分けして、してくれています。

 

合同朝会が終わると、子供たちは各学部・教室に戻ります。9:30です。一週間の始まりです。

 

校長:柘植雅義

校長室便り⑥

雨の日の水遣り

 

 知的障害教育に関わっている方には、よく知られている話があります。

 

 ある学級に知的障害の子供がいて、その子は、いろいろなことに集中して取り組むことが難しかったようです。ところが、学級花壇にはとても興味を示したので、水遣り当番になってもらったそうです。そうしたら、毎日毎日、欠かさず、丁寧に、水遣りをしてくれたそうです。

 何日か過ぎたある日のこと、校長室から、外を見ると雨が降っていたそうです。今日は、水遣りは、なしだなと思ったら、何やら花壇の方に人影があり、よく見たら、その子どもが雨の中、いつものように水遣りをしているのが見えたそうです。

 校長先生が急いで近くに駆け寄って声をかけると、雨具をつけないで濡れている校長先生を見て、その子は、自分が着ていたカッパ(レインコート)を脱いで、濡れるから着るようにと校長先生に渡したそうです。

 

 その時に、校長先生は悟ったそうです。無意識のうちに、自分の方が優れていると思い、与えることしか考えなかったのに、誰もがすばらしいものをもっているのだと。

 無益なはずの、雨の日の水遣りが、人に感動を与えるのですね。

 

 それでは、「雨の日には車を磨いて」(五木寛之)は?・・・これも一見、無益のように見えるのですが。

 

校長:柘植雅義

校長室便り⑤

中学部の授業研究会

 

 大学勤務(東京キャンパスと筑波キャンパス)ではなく、附属大塚勤務の時は、なるべく時間のやりくりをして、幼稚部から高等部まで、各教室や特別教室、体育館や運動場などを回って、授業の様子を見るのを楽しみにしています。皆がとても緊張して集中して先生の話を聞いている場面、お気に入りの絵本を読んでもらってとても気持ちがゆったりとしている様子、鉛筆を持ってひらがなや漢字の練習を一生懸命している様子、運動場を一周するたびに記録用紙にシールを貼っていく様子など、いろいろな授業が次々と展開されていきます。このような、幼稚部から高等部までの授業巡り、一日に、二巡りとか、それ以上することもあります。

 

 さて、先日、小学部と中学部の校内授業研究会がありました。その日は、私は、外部講師の方と共に中学部の担当ということで、中学部の1年、2年、3年のそれぞれの授業を参観し、その後の協議に参加しました。この日、同時に開催された小学部の授業の方も気になって、体育館での小学部合同授業を少しだけ参観しました。全部見られなくて残念でした。

 

 さて、学術研究論文は、通常、(1)問題と目的、(2)方法、(3)結果、(4)考察、から構成されるのが一般的です。一方、学校における学習指導案(授業案、指導案とも呼ばれる)は、通常、(1)導入、(2)展開、(3)まとめ、から構成されるのが一般的です。

今回の中学部の授業は、『生活』で、ジャンボ輪投げ(1年生)、ボウリング(2年生)、そして、ゴロ卓球ゲーム(3年生)というゲームを通した、仲間意識、ルール理解、集団活動、役割分担、振り返り、について学年ごとにそれぞれの教室で学んでいきました。ベースとなっているのは、附属大塚が独自に開発した教育課程です。

そして、授業研究会では、この、(3)まとめ、がポイントでした。一コマの授業の内の何と15分から20分もの長い時間がこの「まとめ」に充てられ、ゲームの結果の発表、メダルの授与、各自の振り返り(感想)、」友達の良かったところの報告、そして、今度の授業の予定を確認します。この流れが見事でした。(2)展開、ばかりに重心を置き、(1)導入、や、(3)まとめ、が疎かになってしまってはいけません。特に、知的障害のある子供には、(1)(3)がポイントだ、ということに改めて気づかされました。

 

 そういえば、学術研究論文も、実は最後の、(4)考察、がとても重要なのですよ。

 

 今度は、幼稚部と高等部の授業研究会です。こちらも楽しみです。

 

校長:柘植雅義

校長室便り④

 高等部現場実習先での反省会に参加して

 

 この2週間、高等部2・3年生の現場実習期間でした。そして、どの生徒も、実習の最後の日は、実習先の担当の方や責任者の方、それに、生徒と保護者、高等部の担当職員らとの反省会があります。

 

 ある生徒の実習先での反省会に参加する機会がありました。附属大塚から電車を乗り継いで40~50分のところ。

 

 開店前の店の客席を使って、反省会が始まりました。

 

 実習で、上手くできたと思うこと、もう少し頑張れたかなと思うところ、などを話すように言われ、その生徒は、素直に答えていました。少し緊張していたのか、聞かれてから答えるまでに少し時間のかかることも。たぶん、よく考えて、間違いのないように、上手に話そうと思ったのかもしれませんね。上手く話せていましたよ。そして、最後に、この職場で、もっとしてみたいと思う別の仕事は何か、とも聞かれていました。

 

 その後、働いている様子を見せてもらいました。共に働く4~5名の社員の方に見守られながら、自分に割り当てられた仕事を一つずつ丁寧にしていきます。記録用紙への記入も確かです。そして、生徒が働いている様子について、担当の方から仕事の内容や職場として配慮していることについて、随時説明を受けました。

 

 この反省会に店長と共に参加していらっしゃった、その職場の国内における障害者雇用の総責任者の立場のような方が、私に次のようなことを話されました。

 「障害のある方々は、一人一人皆違います。そのことを確かにとらえて、その人に適したこと(業務)を適した方法でやってもらうことが大切です。そして、その人と、共に働く他の社員が、その人のことを理解し、必要な支援をしていくことが大切です。」

 

 この言葉、いいですね。「共生社会」(内閣府)の実現が、少しずつ進んできていることを実感した瞬間でした。

 

 秋にも、また現場実習があります。生徒の皆さん、秋も頑張ろうね。

 

校長:柘植雅義

校長室便り③

大塚の運動会って、いいですね。

 

 

 5月17日(土)、晴天のもと、運動会が開催されました。

 

何か、ほんわかとした、ほのぼのとした、大切な時間が流れていくのを感じました。

 

大塚の運動会は、子供たちが主体なのです。いろいろなプログラムはもちろんのこと、開会式だって、閉会式だって、高等部や中学部の子供たちが回していくのです。

先生方が決して前面に出ず、子供たちの特性や個性を確かに踏まえて、一人一人にあった無理のない目標が掲げられ、上手い具合の支援がなされていきました。大塚の先生方の支援力は、見事ですね。

 

また、中央大学と筑波大学の15名ほどの学生たちが、器具の出し入れや、得点係、テントの設営撤去などのお手伝いなど、運動会の後方支援をしてくれました。とても頼もしい存在です。彼らも、運動会を通して、たくさんのことを学び、感じたことでしょう。来年もまた来てくれるかな。

 

それから、父母以外の、きょうだいや祖父母、本校の卒業生とか、近くの警察署の方とか、交流及び共同学習で一緒に取り組んでいる学校園の校長先生方、地域の方々とか、また、大学の関係者が学生を連れてきて一緒に見学をしているとか。とにかく、いろいろな人が気軽に見に来てくれる運動会なのです。

 

 最後の種目は、全校ダンス『タオルdeジャクソン』。高等部が作業学習で作成したいろいろな色のタオルを皆が持って輪になって踊りました。先生方も一緒に。汗が出てきました。

 

 本校の子供たちへ。

練習の時には紅白リレーで途中何度も立ち止まっていたのに運動会では休まず走れた子。練習の時には大玉転がしが上手くできなかったのに運動会では2人ペアで最後まで転がせた子。

練習の時にはバナナの滑り台がスイスイできたのに運動会では止まってしまった子。練習の時にはタイヤ引きでタイヤを素早く引っ張れたのに運動会では相手に持って行かれてしまった子。

大丈夫ですよ。いつも以上に上手くできたこと、たまたま上手くできなかったこと、失敗してしまったこと、楽しかったこと、悔しかったこと、先生方は皆さんのそんなこと全部知っていますよ。だから大丈夫。

 

大塚の運動会って、いいですね。

 

                                校長:柘植雅義

校長室便り②

楽しい一日の始まり

 

 5月になりました。幼稚部の前の園庭にある鯉のぼりが、心地よい風に揺れています。子どもが触れるようにと、低くして吊してあります。

 

 朝、校門に立っていると、子どもたちが登校してきます。「おはよう」とか「校長先生、おはようございます」とか、皆とても元気。握手を求めてくる子もいます。

 

 少しして、今朝も、子どもたちの様子を見るために校内を一巡りしました。

幼稚部は、着替えと朝の支度の最中。持ち物には、子どもによって花とか車とかの同じマークが付いています。分かりやすいですね。

小学部は、替えの後、学年によって、いろいろな課題学習をして、朝の会へ。低学年は、皆でトイレに行っていました。一列に並んで、教室に戻ります。

中学部は、体育館で運動会の練習、そして、今度は運動場に出て練習です。もうすぐ運動会です。

高等部は、運動場での練習の後、教室に入ってゆっくりと呼吸を整えて体を休めて、そして、朝の会が始まりました。3年生は、朝から実習先へ見学に出かけています。

 楽しい一日の始まりです。

 

 今年度の運動会は、5月17日(土)です。雨天代行日は、5月18日(日)です。楽しみですね。

 

校長:柘植雅義

校長室便り①

新年度を迎えて

 

 幼児児童生徒の皆さん、保護者の皆様方、ご入学、ご進級おめでとうございます。新しい仲間が増え、皆一つずつ学年が上がり、そして、本校の歴史がまた1年蓄積されました。

 私は、この4月に本校校長として着任しました、柘植雅義(つげまさよし)といいます。3月まで、国立特別支援教育総合研究所に勤務していました。この度の、筑波大学(人間系 障害科学域 知的・発達・行動障害学分野)への異動に伴い、本校校長を兼務することになりました。どうぞよろしくお願いします。本校の子供たちと一緒に学べること、一緒に学校生活を送れることを、とても楽しみにしています。

 4月って、いいですね。桜が咲いて、風が心地よくて、新しい出会いがあって、新しい動きが始まって、・・・。何か、ワクワク、ドキドキしてきます。さらに、4月(しがつ)の「し」は、幸せの「し」でもあります。だから、私は、4月が大好きです。

 さて、大塚特別支援学校は、前任の藤原義博校長先生のもと、先導的な知的障害教育に関する教育研究拠点モデルの構築を目指してきました。この取り組みは、非常に重要なものです。この方向性を踏まえ、今年度も様々な取り組みを実践し、一層の充実を図っていきたいと考えています。これまでの本校の長い歴史と貴重な教育実践の豊富な蓄積を思えば、もはや日本における先導的な取り組みはもちろんのこと、世界の中においても先導的な役割を果たしていけるよう、高い志を持って職員一同一丸となって取り組んで行けたらいいなあと思っています。

 現在、我が国は、先の障害者の権利条約にも批准し、いよいよインクルーシブ教育システム構築を目指した、特別支援教育の一層の充実が本格的に進められていくことになります。ちょうど2年後の、2016年(平成28年)4月には、障害者差別解消法が施行され、障害を理由とする差別が禁止され、合理的配慮の不提供も禁止となります。

 このような大きな国際的な流れの中、本校への期待は、ますます大きくなっていくのではないかと感じます。

 最後になりましたが、本校の一層の充実発展に向けて、これまで同様、保護者の皆様方及び関係者の皆様方のご支援、ご協力をお願い申し上げます。

 

学校長 柘植雅義

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